【CAGR】とは 企業の成長性を見るうえでの大きな誤解

財務分析

【CAGR】企業の成長性をどう見るか

MBAを学んだり、株式投資をしていると、企業の成長性を計算することがあります。

例えば、売上10億円の企業が毎年30%の成長をすると、9年後には、売上10倍の100億円企業に成長します。株式投資やMBAでの学習では、一般的に、企業の数字の変化は、年対比(パーセント)で見ることが多く、よく有価証券報告書などでも、「昨年対比11%増加」などの言葉が書かれています。

なぜ、パーセント表示なのでしょうか。一般的に、企業を見る際には、大きさの異なる企業を比べることが多く、また、企業の成長は、小さい企業であればあるほど、リニア(直線的)ではなく、指数関数的に掛け算のように成長します。

昨年からの売上が1億円増えた企業があるとします。昨年、売上10億円の企業に対しての、1億円の増加と、1兆円の売上のある企業での1億円では、売上10億円の企業にとっては、10%成長であったとしても、売上1兆円企業にとっては、わずか0.01%に過ぎません。

そのため、実数だけでなく、変動のパーセントを計算するだけで、その企業にとって、数字の変化がどれだけ大きなものだったのかを図る物差しとして非常に分かりやすくなるのです。

【CAGR】とは 見落としがちな落とし穴

では、先ほど、私が挙げた例として、年間売上10億円の企業を挙げましたが、少し事例としてわかりやすくするために、以下の内容にします。

例題

年間売上5億円の企業が、10年で年間売上25億円になりました。この企業の年間の平均成長率は何%でしょうか?

間違った回答

5億円から25億円だから、成長率は10年で、500%(5倍)だ。つまり、1年では、50%成長だと思った方は、残念ながら間違いです。

正しい回答

正しい答えは、毎年成長していく福利の考えを使わないといけないため、計算すると、年間の平均成長は、約17.5%になります。この計算になる理由について、CAGRという言葉を用いて、解説していきたいと思います。

【CAGR】を解説

CAGRとは、「Compound Average Growth Rate」といい、直訳すると「複利による平均的な成長の割合」となります。つまり、年平均成長率です。という事で、MBAを取得する際はCAGRという表現と考え方は一般的で、講義でも説明するほどでもないという感じになることもありますので、知っておきましょう。

CAGRについて、もう少し解説すると、複利としての年平均成長率を計算することで、正しく、毎年何パーセントずつ成長したのかを算出するという事ができます。

実際に、先ほどの例題では、CAGRは17.5%に対して、単純に平均を取った50%成長という計算では、感じ方が全く異なります。5年後に、売上を5倍にしようと思ったら、毎年50%成長するのではなく、約17.5%成長すればよいということです。これがわかれば、平均的に5%成長している企業や、10%成長している企業が数年後にどれだけ複利の考え方で指数関数的に成長していくのかがわかりやすくなると思います。

では、先ほどの例題を解説するにあたり、エクセルの関数でも簡単に利用できる便利なものがありますので、一緒に解説したいと思います。

先ほどの例題を解説

この計算をする上で重要なのは、式です。年間の平均成長率をxと起き、計算します。すると、以下のような計算式が成り立ちます。

上記の(1+x)の「1」は自分の売上を100%としたときの数字です。例えば、年平均30%成長となると、「x=0.3」となり、5億円に対して、130%(1.3)を掛け合わせる計算になります。

そして、この数字を「x=」の形に、直すと下のようになります。細かい計算については、数学のための記事ではないので割愛しますが、これにより、結果は約17.5%となります。

超便利なエクセルのRRI関数を使いこなそう。

実は、この例題を解くために使える超便利な関数がエクセルの中にあります。それが「RRI関数」です。使い方はいたってシンプルで、エクセルのセルに「=RRI」と打つと、「投資の成長率に対する等価利率を返します。」と説明が出るでしょう。そして、この関数に必要なのは、「期間」、「現在価値」、「将来価値」のこの3つのみです。

今回であれば、「期間は10年」、「現在価値は5億円」、「将来価値は25億円」となりますので、RRI関数に入れる値としては、次のようになります。

=RRI(10, 5, 25)

上記のRRIについて、「億円」の部分は、両方とも同時に消せば問題ないため、数字としては常軌を入れると、0.1746189などと出てくるという事です。

【CAGR】まとめ

今回は、CAGRという概念についてまとめました。年平均成長率を勘違いされて覚えている方もいるかもしれませんが、パーセントを含む平均の考え方は単純な平均で計算すると大きな乖離を作り事実誤認をしてしまう可能性がありますので、ぜひ一度、見直すきっかけにしていただければと思います。

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