レオパレスの財務を見てみよう。債務超過は予想できたのか。

財務分析

2020年4月から6月の決算で債務超過が発表されたレオパレスですが、2019年度の決算発表の時点で、それが予想できたのかを書きたいと思います。

成長性

レオパレスの2019年度(2020年3月末)時点までの営業利益ですが、企業の売上高や営業利益などを分析します。

<ポイント1>売上減退

売上高が2017年度において5,000億円を超えていますが、2019年度では、4,330億円程度まで落ち込んでいます。TVなどのメディアに手抜き工事などを取り沙汰されてからというもの、企業イメージがかなり落ちたのもあったのか、売り上げが非常に落ちており、大きく売り上げが減退しています。

不動産業界において、売り上げの大きな現象は、コスト構造的に非常に厳しい状況に陥りやすいです。2018年度までは営業利益で黒字だったのですが、2019年度は大きく350億円を超える赤字に転落しています。つまり本業で赤字が大きく出るような体質になってしまったという事です。

<ポイント2>資産への投資

次に、成長率を算出しました。あまりにも営業利益成長率が大きく下がりすぎて、グラフのスケールが見にくくなるレベルですが、総資産成長率も30%以上下がる状況になっており、会社として、資産を多く減らしている状況が見て取れます。

 

収益性

次に企業がどのくらい儲ける力があるのかを見ていきます。

<ポイント1>総資産がどれくらい利益を生んでいるか(ROA)

ROA=営業利益÷総資産です。投資した資産がどれくらい利益を生み出しているかを示します。
同じ業界で他社と比較すると、会社の稼ぐ力がわかります。 企業が急激に利益が出ない体質に陥っているため、ROAを見る意味はあまりないと思いますが、グラフを見ても分かりやすく、収益性が落ちているのが見て取れます。

<ポイント2>ROAが悪化した理由

ROA=売上高営業利益率×総資産回転率 とも計算できます。
成長性で見せた通り、売上高営業利益率が大きく落ち込んでいますので、ROAが悪くなっているという事です。

<ポイント3>原価率や販管費の推移の問題

売上高原価率=売上原価÷売上高です。例えば、売上高原価率が上がった場合、以下の2パターンが考えられます。
 A:原材料費などが上がり、売上原価が上がる。
 B:競合との競争で販売価格が下がり、売上高が下がる。
→Bの場合だと、会社の将来が心配になりますね。
 ※販管費も同様の考え方です。

今回の場合、恐ろしいことに、売上原価率が94.1%になってしまい、販管費を入れると、100%超えてしまい、利益が全くでない状況です。原価率はビジネスの基本ですが、これがこの2年で12%も上がってしまうと、利益が出るようなビジネスモデルはなかなかないでしょう。よっぽど利益率の高いIT系のビジネスくらいしか、12%の売上原価上昇はカバーできないのではないでしょうか。

<ポイント4>各回転率は?

例えば、商品が売れなくなれば、在庫(棚卸資産)が増えて、棚卸資産回転率が低下します。
棚卸資産回転率が低下して、売上原価率も上がっている。
→商品やサービスの魅力が低下して、物が売れない、値下げせざるを得ない状況かもしれません。

回転率は一般的に、高い方が効率が良いといわれていますが、そもそもここまでひどい状況に陥ると、回転率が改善されて見えるのも、実は、資産や棚卸資産が減っているからという理由だけです。回転率は利益が出ていれば意味を成しますが、利益が出ない状況で回転率が上がっても、指標としては意味をなさない良い例だと思います。

 

安全性

次に、財務面の安全性を分析します。

<ポイント1>短期的な資金繰りは大丈夫か

流動比率=流動資産÷流動負債です。短期的に支払わなければならない負債と支払いに使えるお金の比率を示すイメージです。
一般的には200%を超えていれば良好とされています。

流動比率が100%を切る状況になっていますが、これは非常に危険で、短期的な支払い能力が短期的な借り入れを下回るということで、キャッシュが足りなくなる可能性が高い状況を示しています。2018年度は100%を大きく下回ってますが、資産の売却などにより、2019年度の流動比率は100%に戻しています。これにより、それなりに、数字の改善がされているように見えますが、この指標だけでは安全性は語れませんので、負債をもう少し掘り下げて負債比率を見たいと思います。

 
<ポイント2>純資産が小さくなりすぎて、負債比率が異常な数字に

負債比率=負債÷純資産です。自分の資産(純資産)と借金(負債)の比率を示します。
負債比率が多すぎると、利息の支払い負担が増します。一般的には100%以下が良好とされています。

2019年度末時点で、純資産が16億円しかなく、分母が小さくなりすぎたせいで、非常に大きな負債比率になっています。このグラフを見るだけで、すぐに債務超過に陥るのが分かるくらい酷い状況です。

 

インタレストカバレッジレシオ=(営業利益+受取利息等)÷支払利息です。
支払う利息に対して、何倍の利益を稼いでいるかを示します。明確な基準値はありません。

赤字ではありますので、あまり見る意味がない指標となります。

<ポイント3>長期の安全性

固定比率=固定資産÷純資産です。工場や店舗などの資産をどれくらい自己資金で賄っているかを示します。
一般的には100%以下が良好とされています。 固定長期適合率を見ると、100%程度になっており、固定負債は逆に、減っていないことが見て取れます。固定比率が上がっているのと同じくらい固定長期適合率も上がっていれば、長期的な借り入れも減っているという事になりますので、固定比率に固定長期適合率が連動していないのは、健全な状況ではないといえるでしょうか。

【補足】固定長期適合率

固定比率が100%より多い場合、固定負債を考慮した固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+純資産)を考えます。
長期的に使う固定資産なので、自己資金+長期的に返済する固定負債で賄っていれば良いとう考え方です。目安は同じく100%以下です。

キャッシュフロー(CF)

今後、どうなるのかを見ていくうえで、一番、見ていきたいのが、キャッシュフローでしょうか。ここが良くなる兆しがあれば、企業として、まだ希望があるように見えると思います。

<ポイント1>営業キャッシュフロー(CF)がプラスか

企業活動でどれくらいお金を稼いでいるかです。これがマイナスだと、きちんと利益を上げられていないことを示しています。見ての通り、急激に営業キャッシュフローも落ち込んでいます。本業で稼げていないという判断をして良いレベルでしょう。

<ポイント2>投資CF、財務CFの状況から企業の資金需給を考える

成長している企業では、企業活動で稼いでいるお金(営業CF)以上に設備投資などが必要になります。投資CFが大きなマイナスとなります。 設備投資のための資金を得るために、資金調達をすれば財務CFはプラスになります。レオパレスの投資キャッシュフローは大きくプラスになっており、財務キャッシュフローは大きくマイナスですが、有価証券報告書を読み込むと、短期的も長期的も借入はしておらず、返済しかしていません。2018年度までは借り入れもあるのでそれなりに借入でプラスになる部分もあったのですが、借入が難しい状況なのでしょうか。

 
<ポイント3>フリーキャッシュフロー

フリーCF=営業CF+投資CFです。企業活動で稼ぐお金と設備投資などに必要な資金の差です。
企業が必要な設備投資などを行った上で、ある程度自由に使えるお金を示します。大きなマイナスが続けば、資金調達が必要になるでしょうが、現在、借入を行っていないように見えるので、資産を売却して食いつないでいる状況という事に見えます。

※有価証券報告書データ更新日:2020-07-22

生き残る方法はあるのか

レオパレスですが、ここまで厳しい状況になった時に、どのような対策がとれるかを考えるのは、MBA等を取得する方にとっては非常に勉強にあると思います。私の分析では、債務超過に陥るのは、2019年度の決算発表があった時点で、もう見えていたことのように思います。そして、これを改善するのは非常に難しいのではないかと思います。時間がたてばジワジワ良くなる状況ではなく、急速に悪くなっているのを立て直さなければならない状況のため、このままだと企業存続が難しいというのが、はっきりと出てしまっています。

とはいえ、何か方法がとれないかを考えるのが勉強になりますので、ぜひ、色んな情報を見て分析をしてみてください。

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