理系就職人気ランキング1位の明治ホールディングス株式会社は財務面でどうなのかを見てみる

財務分析

圧倒的な就職人気ランキング上位の明治ホールディングス株式会社

今回は、東洋経済にて書かれた、就活生2.4万人が選んだ「就職人気ランキング」でも就職人気ランキング理系部門1位の明治ホールディングス株式会社の財務分析をしてみたいと思います。正直、この企業、超絶有料すぎて、文句なしって感じです。いつもの通り、成長性、収益性、安全性について書きたいと思います。

成長性

明治ホールディングス株式会社の凄さはその安定的な数字です。売り上げも、資産もほぼ横ばい。

<ポイント1>安定している総資産

総資産が2017年から少し増えただけで横ばいです。景気の波に大きく左右されないのでしょう。2017年から2018年にかけて、のれんもほぼなくなっている状態で、設備投資等が増えており、中身は横ばいである数字以上に良い方向に向かっております。

<ポイント2>伸び続ける営業利益

売上が同じで、営業利益が伸び続けているのは、企業の体質改善が継続的に行われているのでしょうか。年々魅力的な財務状況になっています。そして、加速的に営業利益が伸びていることも分かります。

収益性

次に、企業の儲ける力を分析します。

<ポイント1>営業利益は加速的に伸び続けている。

ROA=営業利益÷総資産です。投資した資産がどれくらい利益を生み出しているかを示します。
同じ業界で他社と比較すると、会社の稼ぐ力がわかります。
ROAを見ていくと、全体的に上昇傾向にあり、それは先ほどから説明している営業利益率の改善がけん引しています。

 
<ポイント2>原価率や販管費の推移

売上高原価率=売上原価÷売上高です。例えば、売上高原価率が上がった場合、以下の2パターンが考えられます。
材料は下がっていないのですが、販管費が減少傾向にあります。会社として業務の効率化を図っているのが結果に出ているのでしょうか。

<ポイント4>回転率の状態

例えば、商品が売れなくなれば、在庫(棚卸資産)が増えて、棚卸資産回転率が低下します。
棚卸資産回転率が低下して、売上原価率も上がっている。
明治ホールディングス株式会社の場合、棚卸資産回転率だけが下がってきていますが、健全な状態のレベルにあるといえます。

 

安全性

財務面の安全性を分析します。

<ポイント1>圧巻の流動比率

流動比率=流動資産÷流動負債です。短期的に支払わなければならない負債と支払いに使えるお金の比率を示すイメージです。
一般的には200%を超えていれば良好とされていますが、明治ホールディングスくらい安定した企業運営ができていると、その比率はもう少し下がっていても健全でしょう。2016年からずっと流動比率が上がり続けており、企業経営の安全性が高まっています。

<ポイント2>下がり続ける負債比率

負債比率=負債÷純資産です。自分の資産(純資産)と借金(負債)の比率を示します。
負債比率が多すぎると、利息の支払い負担が増します。一般的には100%以下が良好とされています。2015年までは100%を超えていましたが、ここ4年で、数字は大きく改善されています。負債は無いから良い企業という事ではありませんが、毎年、この勢いで負債を返せる企業はそう居ないでしょう。

インタレストカバレッジレシオ=(営業利益+受取利息等)÷支払利息です。
支払う利息に対して、何倍の利益を稼いでいるかを示します。明確な基準値はありません。

<ポイント3>長期の安全性

固定比率=固定資産÷純資産です。工場や店舗などの資産をどれくらい自己資金で賄っているかを示します。
一般的には100%以下が良好とされていますが、明治ホールディングスはここも良好な数字を安定的に継続しています。

【補足】固定長期適合率

固定比率が100%より多い場合、固定負債を考慮した固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+純資産)を考えます。
長期的に使う固定資産なので、自己資金+長期的に返済する固定負債で賄っていれば良いとう考え方です。目安は同じく100%以下です。

キャッシュフロー(CF)

<ポイント1>圧巻の営業キャッシュフロー

企業活動でどれくらいお金を稼いでいるかです。これがマイナスだと、きちんと利益を上げられていないことを示しています。ここまで安定的に営業キャッシュフローが積み上げられる企業も珍しいでしょう。非常に良好な営業キャッシュフローと言えます。

<ポイント2>投資CF、財務CFの状況から企業の資金需給を考える

成長している企業では、企業活動で稼いでいるお金(営業CF)以上に設備投資などが必要になります。投資CFが大きなマイナスとなります。 設備投資のための資金を得るために、資金調達をすれば財務CFはプラスになります。
成熟した企業では、企業活動で稼いだお金で設備投資などを賄い(投資CFが少なめのマイナス)、借金も返済している(財務CFがマイナス)状況となります。

投資キャッシュフローについては、常に投資をしており、500億円以上の投資キャッシュフローがでるというのは、常に今後の成長に向けて設備等に投資しているという点が見て取れます。財務キャッシュフローは安定的にマイナスであり、負債を返済し続けているという事も見て取れます。

<ポイント3>フリーキャッシュフローを財務キャッシュフローに回している?

フリーCF=営業CF+投資CFです。企業活動で稼ぐお金と設備投資などに必要な資金の差です。
企業が必要な設備投資などを行った上で、ある程度自由に使えるお金を示します。大きなマイナスが続けば、資金調達が必要になるでしょう。フリーキャッシュフローを見ていると、財務キャッシュフローに近い数字がそれぞれ計上されているように見えます。そのため、できたキャッシュを安定的に借入の返済に充てることで、財務面を健全にしているように見えます。

※有価証券報告書データ更新日:2020-06-26

こんなに安定している企業は珍しい

私は学生時代、情報系の学生だったため、あまり意識が向いていませんでしたが、財務状況が分かると、働くのにこんなに安心な会社あるのか!と度肝を抜かれるレベルでした。これは就職ランキングで上位に来るのも頷けます。引き続き、ランキング上位の企業を追いかけていきたいと思います。

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