【財務分析】はじめに
本ブログでは、理系出身MBAホルダーの私が、財務分析をします。企業の安全性、収益性、安全性を分析し、皆さんの勉強や投資に役に立つ情報を発信していきたいと思います。そして、MBAや外資系企業でマネージメントをしている中で得た経験、大学を出てIT企業でエンジニアなどをしていた中で得た経験から、ビジネスにも役に立つ情報をここで書いていきたいと思います。
※本ブログで書いている分析内容などに誤りがあったとして、皆さんが投資などで損失を被っても、責任は負いませんのでご理解ください。
今回は日高屋で有名な株式会社ハイデイ日高について書きます。2019年度、最高益である30億円をたたき出したにもかかわらず、2020年に入ってから17億円の赤字に転落しています。外食する客層の中でも、サラリーマンが多かった影響でしょうか。売上高が大幅に減少しているハイデイ日高について分析してみたいと思います。
【財務分析】成長性
企業の売上高や営業利益などがなぜ伸びているのかを分析します。
有価証券報告書、決算説明資料などで調べてみましょう。
<ポイント1>2018年度の決算では過去最高益を出した。
ハイデイ日高は、店舗展開をして、過去最高益を2018年に出しました。堅調な伸びを見せており、今後の成長が期待できる状態でした。
<ポイント2>増え続ける現金
資産全体ではあまり変化はありませんが、5年前は70億円だった現金が2019年度末で、130億円になっています。
【財務分析】収益性
企業の儲ける力を分析します。
<ポイント1>落ち続けるROA
ROA=営業利益÷総資産です。投資した資産がどれくらい利益を生み出しているかを示します。
同じ業界で他社と比較すると、会社の稼ぐ力がわかります。
ハイデイ日高はROAが落ち続けています。これは店舗を増やすことにより、効率が落ちてきているからではないでしょうか。
<ポイント2>店舗展開の失敗か
ROA=売上高営業利益率×総資産回転率 とも計算できます。
つまり、より利益が上がるようになってROAが向上したのか、資産を有効活用できるようになってROAが向上したのかわかります。中でも、総資産回転率が落ち続けているのを見ると、店舗展開の影響のように見えてきます。
<ポイント3>原価率や販管費の推移
売上高原価率=売上原価÷売上高です。例えば、売上高原価率が上がった場合、以下の2パターンが考えられます。
A:原材料費などが上がり、売上原価が上がる。
B:競合との競争で販売価格が下がり、売上高が下がる。
→Bの場合だと、会社の将来が心配になりますね。
※販管費も同様の考え方です。
ハイデイ日高は、売上原価率はよいのですが、販管費率が上がっている傾向にあったところが気になります。飲食店は人件費が重要なので、人件費が数%上がるだけでも、利益を大きく押し下げる要因になります。この傾向が続くと、利益を出しにくい体質が残っています。
<ポイント4>売上債権回転率が低下している。
売上債権回転率が大きく落ちています。これは掛け金が大きく伸びていることが原因です。
【財務分析】安全性
財務面の安全性を分析します。
<ポイント1>短期的な資金繰りは問題ない
流動比率=流動資産÷流動負債です。短期的に支払わなければならない負債と支払いに使えるお金の比率を示すイメージです。
一般的には200%を超えていれば良好とされていますが、300%を超えているため、安心な状況にあります。2020年の外出自粛の状況にあって、赤字は出ましたが、それでもまだ少し待てる猶予はある状況かと思います。
<ポイント2>負債が多すぎないか
負債比率=負債÷純資産です。自分の資産(純資産)と借金(負債)の比率を示します。
負債比率が多すぎると、利息の支払い負担が増します。一般的には100%以下が良好とされています。負債比率も低く、借金もない状態のため、非常に安全な状態です。
インタレストカバレッジレシオ=(営業利益+受取利息等)÷支払利息です。
支払う利息に対して、何倍の利益を稼いでいるかを示します。明確な基準値はありません。
<ポイント3>長期の安全性
固定比率=固定資産÷純資産です。工場や店舗などの資産をどれくらい自己資金で賄っているかを示します。
一般的には100%以下が良好とされていますが、ハイデイ日高は、70%弱まで落ちてきており、こちらも非常に安全性の高い数値を出しています。
【補足】固定長期適合率
固定比率が100%より多い場合、固定負債を考慮した固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+純資産)を考えます。
長期的に使う固定資産なので、自己資金+長期的に返済する固定負債で賄っていれば良いとう考え方です。目安は同じく100%以下です。
【財務分析】キャッシュフロー(CF)
<ポイント1>営業キャッシュフロー(CF)がプラスか
企業活動でどれくらいお金を稼いでいるかです。ずっと営業キャッシュフローはプラスで、大きな落ち込みもないため、安定的にキャッシュを産めています。
<ポイント2>投資CF、財務CFの状況から企業の資金需給を考える
成長している企業では、企業活動で稼いでいるお金(営業CF)以上に設備投資などが必要になります。投資CFが大きなマイナスとなります。投資キャッシュフローは、店舗が増えていく関係で、常にマイナスです。財務キャッシュフローもマイナスで、長期的に支払いが必要な要因が減っていることがわかります。
<ポイント3>フリーキャッシュフロー
フリーCF=営業CF+投資CFです。企業活動で稼ぐお金と設備投資などに必要な資金の差です。
こちらは、当然、ずっとプラスの状況です。
※有価証券報告書データ更新日:2020-05-27
【財務分析】まとめ
無借金経営のハイデイ日高ですので、説明の通り、まだ立ち倒れないレベルにはならないと思います。外出する方が増えてくるにつれて、今後、少しずつ戻る可能性はあると思います。現在、新形態の店舗を出していますので、そこも期待したいところです。
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