【財務分析】はじめに
本ブログでは、理系出身MBAホルダーの私が、財務分析をします。企業の安全性、収益性、安全性を分析し、皆さんの勉強や投資に役に立つ情報を発信していきたいと思います。そして、MBAや外資系企業でマネージメントをしている中で得た経験、大学を出てIT企業でエンジニアなどをしていた中で得た経験から、ビジネスにも役に立つ情報をここで書いていきたいと思います。
※本ブログで書いている分析内容などに誤りがあったとして、皆さんが投資などで損失を被っても、責任は負いませんのでご理解ください。
今回は、超優良サブスク銘柄で、無借金経営のエイジアを見ていきたいと思います。
【財務分析】成長性
企業の売上高や営業利益などがなぜ伸びているのかを分析します。
有価証券報告書、決算説明資料などで調べてみましょう。
<ポイント1>伸び続ける営業利益
サブスクリプション比率が80%を超えている驚異的なサブスク割合のエイジアですが、すべてが右上がりです。
<ポイント2>総資産も安定的に成長
サブスクで伸ばしていく場合、成長段階では設備投資を多く行うことが多いため、総資産も急激に成長しています。
【財務分析】収益性
企業の儲ける力を分析します。
<ポイント1>伸び続けるROA
ROA=営業利益÷総資産です。投資した資産がどれくらい利益を生み出しているかを示します。
同じ業界で他社と比較すると、会社の稼ぐ力がわかります。
株式会社エイジアはROAが毎年改善され続けています。
<ポイント2>総資産回転率は、長期的には改善されるのではないか。
ROA=売上高営業利益率×総資産回転率 とも計算できます。
つまり、より利益が上がるようになってROAが向上したのか、資産を有効活用できるようになってROAが向上したのかわかります。現在、売上高営業利益率が上がっていますが、成長している段階では、設備投資も多く出ますので、今後、規模の経済が働けば、総資産回転率も改善されていくのではないかと思われます。
<ポイント3>IT業界ならでわの高収益体制
売上高原価率=売上原価÷売上高です。例えば、売上高原価率が上がった場合、以下の2パターンが考えられます。
A:原材料費などが上がり、売上原価が上がる。
B:競合との競争で販売価格が下がり、売上高が下がる。
→Bの場合だと、会社の将来が心配になりますね。
※販管費も同様の考え方です。
ほかの業界と大きく異なるのが、利益率です。売上原価が40%の時点で低いのですが、販管費も40%前後という低さです。結果的に20%以上が利益になるモデルが出来上がっています。
<ポイント4>回転率は落ちてきているが、まったく問題ない
支払債務や棚卸資産は、EC事業などを抱え始めている中で、当然、他のセグメントの影響で、回転率が変わってしまいます。一方で、固定資産回転率が変動ないため、設備投資に売り上げが連動しているため、無理な投資をしていないのが見て取れます。
【財務分析】安全性
財務面の安全性を分析します。
<ポイント1>非常に優位な資金繰り
流動比率=流動資産÷流動負債です。短期的に支払わなければならない負債と支払いに使えるお金の比率を示すイメージです。
一般的には200%を超えていれば良好とされていますが、IT業界はリスクが小さく、この企業も流動比率が400%という圧倒的な安全性を誇っています。さらにサブスクリプションビジネスのため、その安全性はより大きいものとなります。
<ポイント2>低い負債比率
負債比率=負債÷純資産です。自分の資産(純資産)と借金(負債)の比率を示します。
負債比率が多すぎると、利息の支払い負担が増します。一般的には100%以下が良好とされています。
エイジアは25%と、IT業界ならではの低い数値となっています。
インタレストカバレッジレシオ=(営業利益+受取利息等)÷支払利息です。
支払う利息に対して、何倍の利益を稼いでいるかを示します。明確な基準値はありません。
<ポイント3>長期の安全性
固定比率=固定資産÷純資産です。工場や店舗などの資産をどれくらい自己資金で賄っているかを示します。
一般的には100%以下が良好とされています。 固定比率が上がっていますが、40%とまだ低い数字であり、無借金経営をしているため、安全性は非常に高いと考えられます。
【補足】固定長期適合率
固定比率が100%より多い場合、固定負債を考慮した固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+純資産)を考えます。
長期的に使う固定資産なので、自己資金+長期的に返済する固定負債で賄っていれば良いとう考え方です。目安は同じく100%以下です。
【財務分析】キャッシュフロー(CF)
<ポイント1>営業キャッシュフロー(CF)は大きなプラス
企業活動でどれくらいお金を稼いでいるかです。これがマイナスだと、きちんと利益を上げられていないことを示しています。エイジアは、ずっとプラスであり、2019年度末も4億円以上のプラスになっています。
<ポイント2>投資CF、財務CFの状況から企業の資金需給を考える
成長している企業では、企業活動で稼いでいるお金(営業CF)以上に設備投資などが必要になります。投資CFが大きなマイナスとなります。投資キャッシュフローは2億円前後のマイナスですが、財務キャッシュフローもマイナスで、長期的な支払いは配当金支払いが主で、支払額も非常に小さいものとなっています。
<ポイント3>フリーキャッシュフロー
フリーCF=営業CF+投資CFです。企業活動で稼ぐお金と設備投資などに必要な資金の差です。
フリーキャッシュフローも比較的プラスであり、あまり課題は感じられません。
※有価証券報告書データ更新日:2020-06-29
【財務分析】まとめ
株式会社エイジアの財務状況を見てみました。サブスクリプションの中でも優良企業の1つのため、非常に良い経営状況だと思います。この外出自粛の状況も追い風に業績も株価も大きく伸び続けております。
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