【財務分析】株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド

財務分析

【財務分析】はじめに

本ブログでは、理系出身MBAホルダーの私が、財務分析をします。企業の安全性、収益性、安全性を分析し、皆さんの勉強や投資に役に立つ情報を発信していきたいと思います。そして、MBAや外資系企業でマネージメントをしている中で得た経験、大学を出てIT企業でエンジニアなどをしていた中で得た経験から、ビジネスにも役に立つ情報をここで書いていきたいと思います。

※本ブログで書いている分析内容などに誤りがあったとして、皆さんが投資などで損失を被っても、責任は負いませんのでご理解ください。

コナカの紹介に続いて、業務提携しているサマンサタバサを取り上げたいと思います。今回分析してみて、結果的には、アパレル業界がいかに厳しい業界かということです。外出自粛の影響関係なく、厳しい実態が見えてきました。

【財務分析】成長性

企業の売上高や営業利益などがなぜ伸びているのかを分析します。
有価証券報告書、決算説明資料などで調べてみましょう。

<ポイント1>売り上げの大きな減少

2015年をピークに、大きく売り上げを下げ続けています。

<ポイント2>立て直したかのように見えたが

赤字に転落し2017年の状態にも関わらず、何とか2018年立て直しています。一方で、外出自粛の影響はこの時点では受けてませんので、厳しい向かい風の状態でしょう。

【財務分析】収益性

企業の儲ける力を分析します。

<ポイント1>総資産がどれくらい利益を生んでいるか(ROA)

ROA=営業利益÷総資産です。投資した資産がどれくらい利益を生み出しているかを示します。
同じ業界で他社と比較すると、会社の稼ぐ力がわかります。
他業界と比較する、業界の特徴がわかります(多くの設備投資が必要なインフラ業界、設備投資が少なくて済むIT業界など)。

<ポイント2>企業の改善が総資産回転率に表れている。

ROA=売上高営業利益率×総資産回転率 とも計算できます。
つまり、より利益が上がるようになってROAが向上したのか、資産を有効活用できるようになってROAが向上したのかわかります。ほかのアパレル業界と異なるのが、総資産回転率が上がってきているということです。これは、企業の体質強化への取り組みが出ているのが見て取れます。

<ポイント3>原価率や販管費の推移

売上高原価率=売上原価÷売上高です。例えば、売上高原価率が上がった場合、以下の2パターンが考えられます。
 A:原材料費などが上がり、売上原価が上がる。
 B:競合との競争で販売価格が下がり、売上高が下がる。
→Bの場合だと、会社の将来が心配になりますね。
 ※販管費も同様の考え方です。

改善したのちでも、利益率は、まだ2.3%です。引き続き、厳しい状態だったにもかかわらず、2020年には外出自粛がありましたので、どうなっていくのかが気になるところです。

<ポイント4>各回転率に異常の兆候はないか

例えば、商品が売れなくなれば、在庫(棚卸資産)が増えて、棚卸資産回転率が低下します。
棚卸資産回転率が低下して、売上原価率も上がっている。
→商品やサービスの魅力が低下して、物が売れない、値下げせざるを得ない状況かもしれません。

ほかのアパレル業界の企業と大きくは違わない状況です。

【財務分析】安全性

財務面の安全性を分析します。

<ポイント1>短期的な資金繰りは大丈夫か

流動比率=流動資産÷流動負債です。短期的に支払わなければならない負債と支払いに使えるお金の比率を示すイメージです。
一般的には200%を超えていれば良好とされています。流動比率が落ち込んできており、財務の安全性が大きく落ち込んできています。

<ポイント2>負債が多すぎないか

負債比率=負債÷純資産です。自分の資産(純資産)と借金(負債)の比率を示します。
負債比率が多すぎると、利息の支払い負担が増します。一般的には100%以下が良好とされています。非常に負債比率が高く、これ以上の負債比率増加は、危険な状況といっていいでしょう。純資産も大きく下げてきており、債務超過に陥る可能性もあります。

インタレストカバレッジレシオ=(営業利益+受取利息等)÷支払利息です。
支払う利息に対して、何倍の利益を稼いでいるかを示します。明確な基準値はありません。

<ポイント3>長期の安全性

固定比率=固定資産÷純資産です。工場や店舗などの資産をどれくらい自己資金で賄っているかを示します。
一般的には100%以下が良好とされています。

【補足】固定長期適合率

固定比率が100%より多い場合、固定負債を考慮した固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+純資産)を考えます。
長期的に使う固定資産なので、自己資金+長期的に返済する固定負債で賄っていれば良いとう考え方です。目安は同じく100%以下です。

【財務分析】キャッシュフロー(CF)

<ポイント1>営業キャッシュフロー(CF)がプラスか

企業活動でどれくらいお金を稼いでいるかです。これがマイナスだと、きちんと利益を上げられていないことを示しています。

<ポイント2>投資CF、財務CFの状況から企業の資金需給を考える

成長している企業では、企業活動で稼いでいるお金(営業CF)以上に設備投資などが必要になります。投資CFが大きなマイナスとなります。 設備投資のための資金を得るために、資金調達をすれば財務CFはプラスになります。
成熟した企業では、企業活動で稼いだお金で設備投資などを賄い(投資CFが少なめのマイナス)、借金も返済している(財務CFがマイナス)状況となります。

<ポイント3>フリーキャッシュフロー

フリーCF=営業CF+投資CFです。企業活動で稼ぐお金と設備投資などに必要な資金の差です。
企業が必要な設備投資などを行った上で、ある程度自由に使えるお金を示します。大きなマイナスが続けば、資金調達が必要になるでしょう。

※有価証券報告書データ更新日:2019-05-24

【財務分析】まとめ

サマンサタバサの財務状況を確認しましたが、せっかく改善の兆しが見えてきたにもかかわらず、とどめを刺すような外出自粛のせいで、非常に危険な状況に陥るかもしれません。次の決算も分析していきたいと思います。

皆さんに役立つ学習、投資やビジネスに関する情報を発信できれば思いますので、以下のリンクもチェック、チャンネル登録、フォローしていただけると嬉しいです。
YouTube:動画で学べるビジネス商学チャンネル
Twitter:https://twitter.com/WXbrl

タイトルとURLをコピーしました