事例:飛行機はあぶない?ワクチンの副作用が心配?
飛行機はあぶない、ワクチンの副作用が心配。こんな会話、たまにありませんか。
確かに、飛行機が墜落したら大変です。墜落する飛行機には絶対に乗りたくありません。エンジニアの視点からは、墜落しないと100%保証できる飛行機はないこともわかります。ただし、限りなく100%に近づけるよう、設計や製造技術が進歩し、メンテナンスもしっかりしているでしょう。
重篤な副作用が出るワクチンも打ちたくありません。私は医学の専門家ではないので、確かなことは言えませんが、副作用がないと100%保証できるワクチンなど、聞いたことがありません。
それでも私は、便利だから飛行機に乗っています。インフルエンザにかかることが嫌なので、インフルエンザワクチンを接種しています。新型コロナウィルスのワクチンも受けるつもりです。
そもそも、自分が飛行機事故に遭ったことも、ワクチンの副作用に苦しんだこともないのに、なぜ怖いと思うのでしょうか。専門家でない私たちは、どうやって、飛行機やワクチンの安全性を判断しているのでしょうか?
利用可能性ヒューリスティック
ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンは以下のように述べています。
ヒューリスティックとは、直感的に得られた不完全な情報をもとに素早く判断を下す方法のことです。利用可能性ヒューリスティックとは、思い出しやすい類例に過度に依存して、事例の発生頻度を判断してしまうことですね。
行動経済学の視点から分析
私は悲惨な飛行機事故をテレビで見たことがあります。ワクチン接種により、アナフィラキシーという激しいアレルギー反応があることもテレビで見たことがあります。悲惨な映像を見れば、目に焼きついてしまいますよね。
そして、飛行機の安全性をイメージで判断する時、悲惨な事故映像を思い出し、利用可能性ヒューリスティックにより、飛行機は危険な乗り物だと考えてしまう可能性があります。
同様に、ワクチンの安全性をイメージで判断する時、副作用のニュースを思い出し、利用可能性ヒューリスティックにより、危険な副作用があるものだと考えてしまう可能性があります。
まとめ
飛行機はあぶない?ワクチンは副作用がある?と考える時に、行動経済学の視点から、陥りやすい罠である「利用可能性ヒューリスティック」を説明しました。
私は飛行機やワクチンの専門家ではないので、工学や医学の観点から安全性の説明はできません。
しかし、みなさんが飛行機やワクチンの利用にあたって、安全性を判断しなければならないことがあれば、「利用可能性ヒューリスティック」があること思い出してください。そして、公表されているデータなどを見て、判断してみてはいかがでしょうか。
動画
動画で見たい方ははこちら!
コメント