【将来よりも現在を重視!?】行動経済学における「時間的非整合性」の考え方

行動経済学系

人間は目の前の誘惑に手を伸ばす

皆さんは、上司から仕事を頼まれたけれどもまったく手を付けずに、期限ギリギリの時間との闘いに苦しんだことはありますか?また、ダイエットをしたいいことは分かっていても、甘いものを目にするとついつい手を伸ばしてしまったりしたことはありますか?

人は、たびたび、目先の小さな利益に目を奪われて、後で得られるはずの大きな利益を逃してしまうことがたびたびあります(私も行動経済学を勉強する前はそうですし、今でもそうです笑)。つまり、人間の選好は一定不変ではなく「時間の経過」とともに変化したり、逆転したりすることがあります。このような現象を、行動経済学では「時間的非整合性」と呼び、上記で示したような人の選好を、現在を将来よりも重視することから「現在志向バイアス」もしくは目先のモノに囚われることから「近視眼性」と呼んだりします

それではなぜ人間はこのような意思決定と利益と利益や損失を得る時点が離れているのでしょうか?この記事では例を交えながら、私たち人間のクセ(傾向)や判断基準について考え、人間がいかに「現在志向バイアス」を重視するのかを解説したものになりますので、ぜひ最後までご覧になって行動経済学の知識を現実世界でも生かしてみてください。

「満足感>焦り」から「満足感<焦り」への選好逆転

一つ例を交えながら「時間的非整合性」について考えてみましょう。

Aさんは、上司から来週の火曜日までに仕事を頼まれました。締め切り日までは1週間あります。Aさんはその期間の中で頼まれた仕事にはまったく手を付けずに、友達との飲み会や恋人との時間を優先していました。やっとのことで上司からの仕事に着手し始めたのは、期限直前の月曜日です。結果的にAさんは期限を守りましたが、上司が求めるクオリティにはほど遠く、上司からこっぴどく怒られてしまいました。

怒る男性の上司のイラスト(激怒)

上記のようなシチュエーションにおいて起きているのは、Aさんは期限が迫る状況で仕事を仕上げる苦しみに合わないようにすることよりも、目先の友達との飲み会や恋人との時間の方に魅力を感じていたことになります。つまりここで言いたいことは、仕事の中で得られる評価を過少評価し、目先の楽しさや満足感を過大評価してそちらに飛びついたことになったのです。

おそらくAさんは、期限直前でも、クオリティの高い仕事を提供できると考えていたのでしょう

「満足感>焦り」、

期限ギリギリになると、この選好が逆転し、

「満足感<焦り」

となり、「最初からコツコツしておけばよかった」と後悔することになるのです。

何世代にも引き継がれている人間のクセ(傾向)とは

一般的には、私たちの意思決定の多くは、決定する時点と損失や利益を得る時点が時間的に異なっている(=「異時点間の選択」)であり、これが私たちの行動に影響を与えていることになります。標準的な経済学が想定している経済人は、完璧に合理的な判断の下、行動することを想定しているので、上記の例を照らし合わせたときには、個々の人間の中で判断の癖が生じることはあり得ません。しかしながら、私たち人間は想定されている経済人のようにはならないのです。個々が堅実に貯金して老後に備えれば、政府に年金の面倒をみてもらう必要なくなります。しかしこのような考えを実際に成り立たせることができないのが、今回説明した「現在志向バイアス」を持った人間となるのです。

まとめ

皆さんの生活の中で「時間的非整合性」に当てはまることはありますか?人間は目先の誘惑に飛びつく「現在志向バイアス」を重視する傾向にあり、私たちの世界は感情に左右されています。合理的な判断ができるとは限らないのが人間であり、そこに行動経済学の面白みがあります。ぜひ皆さんも行動経済学の世界へ飛び込んでみてください。

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