【サンクコストの誤謬】とは もったいないのジレンマ

行動経済学系

【サンクコストの誤謬】とは

普段の生活で、「せっかく始めたんだから、やめられない」という事はないでしょうか。

例えば、個人の話とては、「課金ゲームを始めて課金したら、もったいなくてやめられない」、「せっかく買ったんだから使わなきゃもったいない」、「携帯電話を10年も契約していて、ポイントと割引が大きいので、他の格安SIMに変えられない」なんて思う事はないでしょうか。

会社では、「新しく始めた事業で損失を出し続けているけど、いつか花開くかもしれないからやめられない」、「プロジェクトで追加費用が出るが大きすぎる。でも、費用を出さないと終わらないが、それを回収できるだけの利益が出るかもわからない。」なんて話です。

この行為、感じ方を説明する用語として、「サンクコスト(埋没費用)」というものがあります。英語では、Sunk Costと書き、MBAで行動経済学を学ぶと必ずと言っていいほど学びます。実例ではコンコルドの誤謬という言葉があり、過去にコンコルドの開発で数千億円単位の投資をしたにもかかわらず、追加で投資が必要になり、開発費を数兆円単位まで膨らませてしまった話があります。そうなってしまうと、成功しようがしまいが、回収する前に次の最新機器が出来上がってしまうでしょう。

すごく簡単に言うと、「今までやった投資がもったいないと感じて、後に引けなくなること」です。サンクコストを見誤ることを「サンクコストの誤謬(誤り)」といいます。では、具体例を見ていきましょう。

【サンクコストの誤謬】の具体例

具体的な例を解説していきましょう。具体例を下にあげます。

例1)事業投資の場合

企業で、10億円の投資をした新規ビジネスがあるとします。まだ目が出ておらず、売上もほぼ上がっていません。そこで、「追加費用を出し、システムの大幅な見直しをして、事業を続けていく」のか、「事業から撤退する」のかの判断が必要になりました。選択肢は以下の取り。

①追加費用は、10億円で、必要なシステム改修が行える予定です。ただし、プロモーションなどの費用はまた別でかかります。システム開発でさらにお金がかかるかもしれません。

②撤退は、3,000万円で行えます。今後、いかなる費用も掛かりません。

この場合、「過去に10億円を投資した」という気持ちに引っ張られて、①の選択肢を取りたいと思う場合、サンクコスト(すでに失った費用)について、まるで「無かったかのよう」に判断してしまうことがあります。①は成功すれば、100億円の利益が出るかもしれませんが、もしかしたら、最初の10億円も回収できない事業になるかもしれません。②のように、撤退すれば、大きな痛手にならずに、終わることも可能です。

このように、事業の投資は必ずうまくいくわけではないので、新規事業において早期撤退などを判断できるかという事も、勇気ある撤退として、現場がフラットに考えられるかが重要になります。注意点は、サンクコストを理解したからといって、撤退するのが正しいという意味ではありません。人間にはそういうバイアスがあるというのを理解することが大事だという意味です。

例2)個人としての例:つまらない映画を見続けるべきか

個人としての例としてよく記載されるのが、「冒頭で、つまらないと感じた映画を最後まで見るべきあか」という例です。

映画館で見る場合に、例えば、人気がある、シリーズものの映画があり、前も面白かったので、今回も最新作を見に行くとします。事前に予約をするか、朝から列に並んで、見るかもしれません。映画を見るまでに費やした時間は5時間にも上るかもしれません。いよいよ映画が始まり、見始めた時に気づきます。「あれ、全然面白くないし、先も読めちゃって、つまらないな」そんな風に、感じてしまったときに、そのまま映画館に居続けるべきか、退館するべきでしょうか。

これに対して、もちろん答えはありません。一方で、多くの方が感じるのが、「チケット手に入れるの大変だったし、もったいないから、最後まで映画みようかな」と思うのではないでしょうか。これがサンクコストです。今後、突然、面白くなるかもしれませんが、それも期待できない中であれば、映画館を出るのは実は合理的なはずです。

こういった考え方は、スマホの課金ゲームなんかでも同じ効果があります。人は過去の決定、経験や成功体験に引っ張られるのです。

【サンクコストの誤謬】説明するうえで重要なバイアス

今までのサンクコストの事例を説明するうえで、働いているバイアス(偏った考え方)について説明します。人間には様々なバイアスがあります。今回は、下の2つを説明します。

Gamblers Fallacy:ギャンブラーの誤謬

ギャンブラーの誤謬とは、ギャンブルで過去に成功体験がある人は、統計的に儲からないとわかっていても、そのリスクを取りに行くという効果です。ギャンブル依存症で成功体験がない方はいないでしょう。そういった成功体験が邪魔をすることがあります。

事業においても、成功体験が強い方は、確率が低くてもどんどんリスクを取って対応します。計算されたリスクなら良いのですが、それが過去の成功体験からの推測の場合、非常に大きな失敗リスクとなるになることもあります。このような状況下では、選択がギャンブラーの誤謬になっているのかもしれません。

Endowment Effect:授かり効果

Endowment Effectについても説明します。授かり効果ともいいますが、これは、自分が持っているもの等を高く評価してしまったり、最初や最後に関わったものの記憶が強く、最初や最後に対応した内容に重要性を置いてしまう事です。映画も、シリーズもので1つ目が面白ければそのあとがあまり面白くなくても、見る人が多いのは、そういった効果が影響している部分もあるでしょう。

事業では、自分が手掛けた事業は大切だから、なくしたくない、何とか存続したいという気持ちが強い役員がいるという話はどこの企業でもあるものです。人は、どんなにフラットに事業と接しようとしても、自分がどれだけ関わったかで愛着というバイアスがかかるものです。

【サンクコストの誤謬】を普段の業務で使う

このように、サンクコストはいたるところに潜んでいます。意思決定を変えるかはその場の状況に応じて決まりますが、大切なのは、その意思決定において、冷静にデータを見たかという点です。その際に、サンクコストを意識して意思決定をすることは非常に重要です。

AmazonのCEOである、ジェフ・ベゾスのいった事で有名な2Way doorという言葉がありますが、事業は意思決定をしても、戻れるという事が重要です。ジェフ・ベゾスはAmazonについて「最も失敗できる会社」といっていますが、2 Way doorの考え方は、このサンクコストを常に意識した考え方であり、決めたことがうまくいかなければやり直しはきくという考え方です。

この考え方は日系企業には特に必要でしょう。日系企業は計画を緻密に立てるのはうまいのですが、途中でどんどん大きな方針転換をしていく点では強くない企業が多いでしょう。Amazonの企画はおそらく、最初に日系企業の企画と比べてもそれほど違いのあるものではないでしょう。ただ、改善のスピード感という意味では大きな差があるので、商品を出したときに微妙なものがあっても、どんどん良いサービスになっていくのでしょう。

このように、ビジネスをする上では、サンクコストを意識して、続けるのか、変えるのか、やめるのかなどを都度判断して意思決定することで、選択肢を増やし、盲目的に損をすることを避けられる可能性を上げることができます。

【サンクコストの誤謬】動画でまとめ

この記事の内容を動画でまとめましたので、もしよろしければ、見ていただければと思います。

【サンクコストの誤謬】まとめ

サンクコストの誤謬について、まとめました。MBAを学ぶ上で、絶対といっていいほど学ぶ内容なので、ぜひ、皆さんも様々な場面で、サンクコストがないのか考えてみてください。

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