【ケータイ業界は大丈夫か】TV業界の次にヤバいのは通信業界か

その他

【ケータイ業界は大丈夫か】ケータイ業界に走る激震

楽天モバイルが、2020年初めに、驚きの1年間無料というサービスを始め、2021年4月からは、最低0円という想定外の価格設定をしてきました。他にも「ahamo(Docomo)」、「povo(au)」「LINEMO(SoftBank)」が3,000円を切るサービスを発表し、世間を驚かせました。

この状況がどのように業界に影響をお与えるのか、ポジショニング分析などを用いて解説していきたいと思います。

ここで、MVNOとは何かを説明だけしておきます。MVNOとはMobile Virtual Network Operatorといい、大手通信キャリアの携帯通信網を借りてサービスを提供している事業社です。格安SIMと言ってるのは、このMVNOのことです。

【ケータイ業界は大丈夫か】PPM分析から見る、厳しい将来性

まず、MBAでは一般的なポジショニング分析をしてみましょう。左側が今の既存のポジショニングです。大手通信キャリアは、顧客が格安SIMに変えたくない、ある意味比較的保守的な方が多いため、そのまま高くても契約を続ける方が多いというのが現状です。そして矢印に入れてますが、そのポジションが今回の値下げでかなり左に寄ります。特に楽天モバイルに至っては、MVNOよりも左に行ってしまうかもしれません。

MVNO事業者は元々が低価格帯であり、削れるところがほとんどないのが現状です。MVNOは今まで「低価格」が売りでしたが、その低価格が強みでなくなります。そして、今まで少し高付加価値で高めに課金できていた顧客が減ります。そうすると、ARPUが下がります。

大手であればARPUは5,000円前後、MVNOは1,500円前後といったところでしょう。そして、この楽天モバイルや大手通信キャリアと価格帯で被り始める所がMVNOにとって、競争激化すると辛いところです。つまり、MVNOにとって、儲けやすい顧客を失う可能性が上がるという事です。

※ARPUとは、Average Revenue Per Userといい、1ユーザー当たりの単価です。

【ケータイ業界は大丈夫か】PPM分析から見る、厳しい将来性

次に、プロダクトポートフォリオ分析を使って、大手通信キャリアの将来性を考えましょう。

これは、大手通信キャリアが一般的に抱えているプロダクトポートフォリオです。現在は、モバイル事業や固定回線事業からベンチャー投資や次の新規事業に投資しているのが現状でしょう。現状、金の生る木であるモバイル事業の収益性が一気に下がると大変なわけです。

現状のARPUが5,000円前後とすると、安いSIMに切り替える人が増えると、4,000円くらいまでARPUが落ちる可能性があります。単純計算すると、「売上=ARPUxユーザー数」です。ARPUが20%下がると、モバイル事業の20%の売上が下がることもあり得ます。

通信事業者は、莫大な設備投資と、オペレーションコストがかかります。人件費や広告費など、落とすわけにはいかないコストも多々あります。利益を増やし続けるには、下請け業者の費用を削るなどの方法を検討する必要が出ます。業界がどんどん厳しくなっていくことが目に見えているのです。そして、モバイル事業が利益率を落とすと、他の事業への投資も減ってしまうわけです。

【ケータイ業界は大丈夫か】5フォース分析から見るMVNOの厳しさ

最後に、MVNOがいかに悲惨な状況か、5フォース分析を見て、解説していきたいと思います。

MVNOで、一番の問題は、業界の競争が激しすぎる事でしょう。MVNOというくくりで見ても、競合が多く、付加価値を付けたサービスをつけにくいため、MVNOそれぞれの差別化要素も大きくはつけられません。そして、大手通信キャリアからの仕入れについても、通信料の値下げなどに応じてもらうにはそれなりにボリュームのコミットや、交渉力が必要になるでしょう。また、顧客からしてみれば、価格と品質のバランスがそれぞれにとって良いものを選択しますので、顧客からしてみれば、どこの通信キャリアだってある意味関係ありません。

ここまで見てしまうと、もはや特殊な顧客層を抱えている通信キャリア以外は、差別化で戦うのが難しいため、非常に困難な戦いを強いられることが見て取れます。

【ケータイ業界は大丈夫か】総合的に業界はどうなるのか

今後の通信業界について、MBA的な視点で簡単に解説してみました。つまり、大手通信キャリアにとっては、売上と利益が下がるのは目に見えており、新規事業などへの投資も減る可能性が高いでしょう。そして、MVNOにとっては、辛い状況です。既存の顧客を失う事になりかねません。そして、去らない低価格帯での戦いになるでしょう。カスタマーサービスなどの品質の低下も起こしかねません。この状況で嬉しいのは誰でしょうか。私たちのようなサービス利用者でしょうか。

確かに短期的にはサービス利用費(携帯利用料)が下がります。一方で、MVNOの撤退などの業界再編が起こる可能性もあるでしょう。国全体に与える影響などは私にはわかりませんが、MVNOを増やしていき、顧客に選択肢と低価格なサービスを提供していくのが国の方針だったと思うのですが、いつの間にか、逆の大手通信キャリアしか生き残れない状況を国が提案したようにも見えてしまいます。

楽天モバイルもギリギリの戦いを強いられているでしょうし、キャッシュフローの問題のみだと思うので、潰れることはないと思いますが、通信キャリア業界全体がおいしい業界ではなくなってしまった年として、2021年は語り継がれていくかもしれないくらいの状況という事です。

TV業界は、広告収入のプラットフォームがネットに移る関係で、収益構造が変わるのは明らかですが、通信業界は、2021年から数年かけて急激に売り上げを落とすと思われます。通信キャリア大手3社で2,000億円売上が落ちるのは、今年だけでなく、来年以降も複数年にわたり似たような売り上げの減少につながるでしょう。

【ケータイ業界は大丈夫か】まとめ

ケータイ業界について、様々な観点で分析してみました。今後、余裕があれば数字も交えた分析も加えていきたいと思いますが、もう何も考えなくても、いかにひどい状況になってきてるかは目に見えているため、ブログを書きました。今後の業界分析の参考などになれば幸いです。

皆さんに役立つ学習、投資やビジネスに関する情報を発信できれば思いますので、以下のリンクもチェック、チャンネル登録、フォローしていただけると嬉しいです。
YouTube:動画で学べるビジネス商学チャンネル
Twitter:https://twitter.com/WXbrl

タイトルとURLをコピーしました