(第5回) 貸借対照表の各項目(流動・固定など)

財務分析(全15回講座)

概要

 今回は、今までの概要から、もう少し深堀りした内容として、貸借対照表の資産や負債にある、流動、固定資産(負債)を中心に解説します。また、企業の財務状況を見る時、どんな点に注意すれば良いのかも、説明していきます。

貸借対照表の各項目(流動・固定など)

 それでは、はじめていきましょう。貸借対照表はこのように、資産、負債、純資産に分かれていることを以前学びました。

 今回はこの図の緑色部分、資産と負債の中身について勉強します。

そして、資産は流動資産、固定資産、繰延資産とさらに分類できます。

 ここで、「流動」「固定」という言葉が出てきますね。いったい、どういう意味でしょうか。流動の意味は、1年以内に現金化できるもののイメージです。現金や売掛金などがあります。
 固定資産は、建物や設備、土地などの企業が事業活動において1年以上使用していくもののイメージです。
 ただし、流動資産については、例外がありまして、営業循環基準というものがあります。通常の営業活動が1年以上掛かる、例えば、熟成に1年以上を要するワインであれば、ワイン工場にて熟成している時には、流動資産として計上します。

 その他に繰延資産があり、会社創立のための創立費などが該当しますが、通常はあまり使いませんので、ここでの説明は省略します。
 また、負債についても、先程の資産と同じイメージです。流動負債と固定負債の2つに分かれます。

 そして、1年以内に返済しなければならないもの、例えば短期借入金や買掛金などは流動負債になります。1年以上の長期に渡って返済するもの、例えば1年以上返済期限のある社債、長期借入金などは固定負債になります。さきほどと同じく例外がありまして、営業循環基準も適用されます。

 ではここで、財務分析の項目も一つ紹介しましょう。1年以内に返さなければならないお金が流動負債、1年以内に現金化できる見込みのお金は流動資産ですね。
 返さなければならないお金は沢山あるのに、現金化できるお金が少ないと、返済が心配になりますよね。それを表すのが、「流動比率」になります。例えば、流動資産が100万円、流動負債が50万円だと、100万円÷50万円で2、パーセントにすると200%になります。一般的には、200%以上が良いとされています。

講義動画

 読んでもなかなか頭に入らない~という方のために、先述の講義を動画にしています(カンザイ先生作成)。ぜひご覧ください。

まとめ

 それでは、まとめに入ります。今回は、貸借対照表の項目の概要について解説しました。流動・固定の違い、財務分析の指標となる流動比率など、それぞれの部分がどんなことを意味しているのか、おおまかなイメージを掴んでいただけたでしょうか。
 なお、繰り返しにはなりますが、今回はわかりやすさを優先するため、イメージで説明しています。より厳密な言葉の定義などは、別途勉強していただければなと思います。
 次回は貸借対照表の流動資産や固定資産の各科目を説明します。

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