概要
今回は、損益計算書の各科目(売上原価など)について解説します。
損益計算書の各科目(売上原価など)
これまでの学習で、損益計算書は、本業で稼いだ利益である売上高から営業利益までの部分、本業以外で稼いだ利益である、営業外収益から経常利益までの部分、特別利益から税引前当期純利益までの臨時的な利益の部分があることを学びました。今回は、さらに細かく見ていきます。
初めに、本業の利益を計算する、営業損益計算の部分です。このように、売上高、売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益に分かれています。
まずは売上高です。損益計算書の一番上に来るため、トップラインとも呼ばれます。本業で実現した収益を示し、商品や製品、サービスなどの売上高が該当します。企業として存続していくためには、この売上高を確保していくことが始まりですね。
次に、売上原価です。本業の営業活動から生じた費用で、商品や製品の売上などサービス提供に「直接」対応するものです。該当するものは、具体的には商品の仕入れ代金、製品の製造原価、サービス提供の人件費などがあります。
ここでは、「直接」の範囲について、判断に迷うかもしれません。店舗で物を販売する小売業界の場合、販売するためには店員が必要なので、店員の人件費も売上原価だと思うかもしれません。しかし、販売するための人件費は売上原価には含めず、後述する販売費に含めることになっていますので、ご注意ください。
次に、売上総利益です。売上高から売上原価を引いて計算します。粗利とも言います。ざっくり言うと、100円のものを仕入れて、150円で売ったら、粗利が50円です。業界や企業によって、粗利は変わります。色んな会社を見比べて、なぜ違うのか考えると、面白いかもしれません。
次に、販売費及び一般管理費です。名前のとおり、販売費と一般管理費を足したものになります。販管費と省略して言うこともあります。販売費は販売活動のための費用、一般管理費は管理業務の費用が該当します。具体的には、販売費には販売員の人件費、広告宣伝費などがあります。一般管理費には、間接部門である人事や経理の人件費などがあります。
次に、営業利益です。売上総利益から販売費及び一般管理費を引いたものになります。本業の利益を示します。この会社はちゃんと儲かっているかと考える時、まずはこの営業利益を見てみましょう。
次に、経常損益計算です。本業の利益に、余剰資金の運用収益を加え、資金調達費用を引き、経常的な収益を示すものです。では、見ていきましょう。
まず、営業外収益です。本業以外からの経常的な収益を示します。例えば、受取配当金、受取利息などがあります。
次に、営業外費用です。本業以外からの経常的な費用を示します。例えば、支払利息、社債利息があります。
次に、経常利益です。先ほどもありましたように、営業利益に営業外収益を足し、営業費用を引いたものです。本業の成果に加えて、資金調達費用や資金運用の成果を加えて、企業の通常の収益力を示します。
例えば、営業利益が同じ会社でも、一般的には借金が多い会社の方が、支払利息も多くなり、経常利益は下がってしまいます。つまり、企業の財務構造が反映される部分になります。
次に、税引前当期純利益です。経常利益に本業以外の臨時の損益を加えたもので、税金を引く前の最終的な利益を示します。では見ていきましょう。
特別利益は臨時的な利益で、固定資産売却益、負ののれん発生益などがあります。固定資産売却益は、売った金額そのものを示すのではなく、帳簿上の価格より高く売れた場合で、帳簿より高く売れた分を示しますでので、ご注意ください。負ののれん発生益とは、企業を買収した時に、貸借対照表の純資産より安く購入した場合の差額を示します。詳しい説明は省略しますので、興味がある方は調べてみてください。
次に、特別損失は臨時的な損失などを示します。固定資産売却損、減損損失、災害による損失などです。固定資産売却損は、先ほどと同様に帳簿価格より売却価格が安くなってしまった場合、差額を記載します。減損損失とは、例えば、工場の設備が規制強化などで使用できなくなくなった場合があります。どのような場合に減損損失とするかは、深い話になりますので、興味がある方は、ぜひ調べてみてください。災害による損失は、台風などにより建物や在庫商品などに被害を受けた損失額になります。
次に、税引前当期純利益です。特別利益を足して、特別損失を引きます。臨時的な利益や費用を加えた、法人税などの控除前の最終的な利益を示します。
最後に、当期純利益です。税引前当期純利益から法人税や住民税などの税金を引いたものです。企業の最終的な経営成績を示します。損益計算書の一番下に記載されることから、ボトムラインとも呼ばれます。この当期純利益をもとに、株主に配当したり、自社の資本金に加えられたります。
講義動画
読んでもなかなか頭に入らない~という方のために、先述の講義を動画にしています(カンザイ先生作成)。ぜひご覧ください。
まとめ
今回は、損益計算書にどんな科目があるのか説明しました。各科目はどのようなことを意味しているか、おおまかなイメージを掴んでいただけたでしょうか。
次回は減価償却費について説を説明します。